湘南の夏の訪れを告げる伝統行事「江の島天王祭(えのしまてんのうさい)」。
毎年7月になると、江の島周辺には威勢の良い掛け声が響き渡り、多くの観光客や写真愛好家、地元の人々でにぎわいます。
江の島天王祭は、ただ神輿を担ぐだけのお祭りではありません。神様が海を渡る全国でも珍しい神事が行われることから、神奈川県を代表する伝統行事の一つとして知られています。
特に、龍口寺前で2基の神輿が出会う瞬間は、お祭り最大の見どころ。担ぎ手たちの力強い掛け声とともに神輿が大きく揺れ動く様子は、初めて見る人でも思わず息をのむ迫力があります。
この記事では、江の島天王祭の歴史や由来、2026年の日程、神輿の見どころ、そして一番盛り上がる龍口寺前の様子まで詳しく紹介します。
江の島天王祭とは?

江の島天王祭は、江島神社の境内にある八坂神社と、腰越に鎮座する小動神社(こゆるぎじんじゃ)の合同祭礼です。
祭礼の中心となるのは「神幸祭(しんこうさい)」と呼ばれる神事で、神様を神輿にお乗せし、町を巡行します。
最大の特徴は、江の島と腰越を結ぶ海上で神様が行き交う「海上渡御(かいじょうとぎょ)」です。
神様が海を渡る祭りは全国でも数が少なく、江の島天王祭ならではの神聖な光景として、多くの人を魅了しています。
また、この祭りは昭和57年に「かながわの祭り50選」に選定され、2020年には藤沢市指定重要無形民俗文化財にも指定されるなど、地域を代表する貴重な伝統文化として受け継がれています。
江の島天王祭の由来
江の島天王祭には、古くから伝わる興味深い伝説があります。
昔、大きな津波によって小動神社の御神体である須佐之男命(スサノオノミコト)が海へ流されてしまいました。
その後、江の島の漁師が海上で御神体を発見し、大切に江島神社へ迎え入れたと伝えられています。
やがて御神体は小動神社へ戻されましたが、この出来事をきっかけに両神社の深いご縁が生まれました。
現在でも、そのご縁を大切にするため、年に一度、両神社の神様が出会う「行合祭(ゆきあいさい)」が執り行われています。
単なる地域のお祭りではなく、「神様同士の再会」を意味する神聖な神事であることが、江の島天王祭の大きな特徴です。
神輿に乗る神様とは?
江島神社側の神輿には、境内にある八坂神社の祭神が乗ります。
八坂神社の祭神は「建速須佐之男命(たけはやすさのおのみこと)」です。
須佐之男命は厄除けや疫病退散の神様として全国各地で信仰されており、京都・八坂神社の祭神としても知られています。
一方、小動神社でも須佐之男命が祀られており、両社が同じ神様をお祀りしていることから、神様同士が再会する神事として現在まで受け継がれています。
神輿が海を渡る「海上渡御」
江の島天王祭最大の見どころが、海上渡御です。
神輿は江の島側から海へ向かい、船や担ぎ手によって海上を渡ります。
青い海と神輿、法被姿の担ぎ手、そして夏空。
湘南らしい風景の中で行われる神事は、とても幻想的で、日本全国を探してもなかなか見ることのできない貴重な祭礼です。
潮風を感じながら神輿がゆっくり進む様子は、写真や動画では伝わらない迫力があります。

一番盛り上がるのは龍口寺前
地元の人が「絶対に見るならここ」とすすめる場所が龍口寺前交差点です。
午後になると、江島神社からの神輿と小動神社からの神輿がここで出会います。
両方の担ぎ手が威勢よく掛け声を上げながら神輿を高く差し上げたり、大きく揺らしたりする様子は圧巻です。
担ぎ手同士の息がぴったりと合い、神輿がまるで生き物のように躍動する姿に、沿道からは大きな歓声が上がります。
この瞬間を一目見ようと、多くの観客やカメラマンが集まり、龍口寺前は祭りの熱気が最高潮になります。
江ノ電がすぐ近くを走るため、タイミングが良ければ神輿と江ノ電を一緒に撮影できるのも人気の理由です。
神輿はなぜ激しく揺らすの?
初めて見る人は、「どうしてあんなに激しく揺らすの?」と思うかもしれません。
神輿を揺らすことには諸説ありますが、神様の力をより高め、地域へ活力やご利益を広く授ける意味があるとされています。
また、担ぎ手たちの力強い動きによって祭り全体が盛り上がり、神様への敬意や歓迎の気持ちを表しているともいわれています。
地域によって担ぎ方には違いがありますが、江の島天王祭の勇壮な神輿は湘南らしい活気に満ちています。

2026年の開催日程
2026年の神幸祭は、**7月12日(日)**に開催予定です。
主な流れは次のとおりです。
・午前:発輿祭・神輿出発
・午前から昼頃:海上渡御
・午後:龍口寺前で神輿が合流
・夕方:還御祭
時間は天候や進行状況により変更される場合があるため、見学前には江島神社などの公式案内を確認することをおすすめします。
観覧するならどこがおすすめ?
写真撮影が目的なら、龍口寺前交差点がおすすめです。
神輿同士の迫力ある場面や、江ノ電との共演など、湘南らしい写真を撮影できます。
海上渡御を見たい方は、江の島弁天橋付近や湘南港周辺がおすすめです。
海と神輿が一体となる幻想的な光景を楽しめます。
ゆっくり神輿を見たい場合は、小動神社周辺や江島神社周辺もおすすめです。

当日の服装と持ち物
7月の湘南は気温が30度を超えることも珍しくありません。
熱中症対策として、帽子や飲み物、日焼け止め、携帯用扇風機などを準備すると安心です。
また、龍口寺前は非常に混雑するため、歩きやすい靴で出かけることをおすすめします。
写真撮影をする方は、望遠レンズや予備バッテリーがあると便利です。
まとめ
江の島天王祭は、神様が海を渡る全国でも珍しい神事であり、湘南を代表する夏祭りです。
海上渡御という神聖な伝統と、龍口寺前で繰り広げられる勇壮な神輿の競演は、何度見ても心を動かされます。
歴史ある神事でありながら、初めて訪れる人でも十分に楽しめるのが江の島天王祭の魅力です。
2026年の夏は、ぜひ江の島を訪れ、潮風を感じながら受け継がれてきた伝統と、担ぎ手たちの熱い思いを体感してみてはいかがでしょうか。

