― 神在月の出雲旅、ちょっとひと息つけた場所たち ―
神在月の出雲旅といえば、どうしても「神社めぐり」が主役になりがち。実際、今回の旅も、出雲大社をはじめとした参拝がいちばんの目的でした。
でも、3泊4日の女子旅を終えて振り返ってみると、印象に残っているのは、神社だけじゃなかったな…というのが正直なところ。長距離の車移動、夜中の雪道、知らない土地の暗い道。正直、緊張する場面もありました。
そんな中で、「ちょっと座りたいね」「ここで一息つけて助かった〜」そんな何気ない時間が、旅をやさしく整えてくれた気がします。今回はレンタカーではなく、自家用車での旅。そのおかげで、時間に追われすぎず、神社の“合間”に、思いがけず心地いい場所に出会うことができました。
この記事では、神在月の出雲女子旅で、神社の “合間” に立ち寄ってよかった場所をまとめています。派手な観光地というより、歩き疲れた心と体をそっと整えてくれた場所たち。
これから出雲を車で旅する人や、「神社だけじゃない出雲の楽しみ方」を知りたい人の参考になれば嬉しいです。
今回の出雲女子旅について(ざっくり)

※写真は筆者が撮影したものです
今回の出雲女子旅は、神奈川から島根・出雲まで向かう、車での長距離旅。神在月の出雲を、どうしてもこのタイミングで訪れたくて計画しました。
移動手段は飛行機や電車案も出ていたのですが、最終的にメンバーのひとりが「車出そうか?」と言ってくれて、結果的に、自由度高めの車旅になりました。
出発は、12/3の18時過ぎ。
夜の高速を走り続け、出雲大社の駐車場に着いたのは翌朝6時でした。……が、実はここに辿り着くまでが、今回の旅でいちばんの山場でした。
兵庫県あたりから雪が降りはじめ、岡山県に入る頃には猛吹雪。これ以上進むのは危険かも、ということで、夜中の3時半ごろに大山パーキングエリアで一時ストップ。
雪が落ち着くまで、そこで車中泊をしながら1時間ほど仮眠を取り、明け方にあらためて出雲大社へ向かいました。そんなハードな道のりを経て到着した出雲。
長い道のりでしたが、その瞬間は「やっと来たね…!」と、みんなで顔を見合わせてほっとしたのを覚えています。不思議と、そこから先は気持ちも旅の流れも、すっと整っていきました。
旅程は3泊4日。そのうち1泊は車中泊という、少しイレギュラーなスタートでしたが、参拝の合間に立ち寄ったカフェや美術館、温泉や宿が、この旅にちょうどいい「ひと息」をくれた気がします。
この記事では、そんな出雲女子旅の途中で出会った、神社の合間に立ち寄ってよかった場所を、ざっくりまとめています。
旅の流れを整えてくれたカフェとごはん
夜通し車を走らせて、朝6時に出雲大社に到着。まず必要だったのは、参拝…よりも正直、朝ごはんでした。
早朝の出雲大社周辺は、開いているお店やコンビニがほとんどなく、「あれ、どこも開いてない…?」という状態。そんな中で本当に助けられたのが、出雲大社のすぐそばにあるスターバックス。
ここからは、旅の流れを整えてくれたカフェと、2日目に立ち寄ったランチスポットを紹介します。
スターバックス 出雲大社店|最初にほっとできた場所

※写真は筆者が撮影したものです
朝6時に出雲大社に到着してから、7時半くらいまでは車の中でそのまま仮眠。寝袋にくるまって、それぞれ二度寝したり、うとうとしたり。外が明るくなってきた頃に起きて、車内で着替えと身支度をしました。
「そろそろお腹すいたね〜」となって、参拝前の朝ごはんへ。
向かったのは、出雲大社の入口目の前にあるスターバックス出雲大社店。お店に着いたのは8時半過ぎで、オープン直後でしたが、すでに列ができていました。周辺には早朝から開いているお店やコンビニがほとんどなかったので、このスタバの存在には正直かなり助けられました。

※写真は筆者が撮影したものです
店内の2階がイートインスペースで勾玉の形をしたテーブルがあり、出雲らしさを感じる落ち着いた空間。出雲限定のマグカップでイートインできたのも、ちょっと嬉しいポイントでした。
参拝前の静かな朝、温かい飲み物とパンでひと息。このあとの神社めぐりに向けて、気持ちも体もゆっくり整いました。
Amioちなみにラージは通常のマグ。ショートサイズだけ出雲限定なのも、ちょっと特別感あって嬉しい。
ル コションドール出西|お腹も気分も満たされた場所

※写真は筆者が撮影したものです
2日目のお昼に立ち寄ったのが、ル コションドール出西。須佐神社の参拝を終えて、「そろそろお昼ごはんを食べたいね」となり、Googleマップでたまたま見つけたパン屋さんでした。
外観からしておしゃれで、入った瞬間に「ここ、当たりかも」と思える雰囲気。パンの種類がとにかく豊富で、素材にこだわった個性的なものばかり。どれも美味しそうで、選ぶのにかなり悩みました。
パンの購入はもちろん、イートインもできるお店で、パンを選んで食べてもいいし、ランチメニューを頼むこともできます。この日は店内でランチをいただきつつ、翌日の朝ごはん用にパンもいくつか購入しました。

※写真は筆者が撮影したものです
私は自家製塩豚のカツカレーを注文。想像以上に本格的なスパイス感で、歩き回った体にじんわり沁みる美味しさでした。カツは衣が軽く、塩豚ならではの旨みがしっかり感じられて、カレーとの相性も抜群でした。
個人的にいちばん印象に残ったのは、特製バブカ。これは本当に絶品で、また近くに来ることがあれば、必ず買いたいと思ったパンです。和三盆のドーナツも美味しくて最後まで迷いましたが、私のイチオシはやっぱり特製バブカ。
ちなみにここは、出西窯に併設されたベーカリーカフェ。店内で使われているお皿はすべて出西窯のうつわで、温もりのある風合いが、料理をより美味しそうに見せてくれました。
神社巡りが続く旅の途中で、しっかり座って、ゆっくり選んで、ちゃんと味わえる時間。ル コションドール出西は、そんな旅の流れを整えてくれたランチスポットでした。
神社の合間に立ち寄ってよかった美術館
神社めぐりが続くと、気づかないうちに気持ちも体も張りつめがち。そんなとき、参拝の合間に立ち寄った美術館が、思っていた以上にいい「切り替え」になりました。
静かな空間で過ごす時間や、景色と向き合うひとときは、次の神社へ向かう前のクールダウンにも、気持ちを整える時間にもなってくれます。
ここからは、今回の出雲女子旅で立ち寄ってよかった、2つの美術館を紹介します。
島根県立美術館|夕日の代わりに現れた、龍神のような雲

※写真は筆者が撮影したものです
宍道湖(しんじこ)の湖畔に建つ島根県立美術館は、「日本の夕陽百選」にも選ばれている、夕景スポットとして知られる場所。館内では、世界的にも知られる北斎コレクションが展示されていることでも有名です。
この日は、出雲大社の参拝を終えたあと、夕日を見に立ち寄りました。ただ、楽しみにしていた夕日は雲に隠れてしまい、姿は見えず。

※写真は筆者が撮影したものです
その代わり、展望テラスに出たとき、空に現れたのが龍神様のような形をした雲でした。しかもこの日は満月。強風のなかで雲は一瞬で形を変え、すぐに消えてしまいましたが、その光景がとても印象的で、しばらく言葉も出ませんでした。
ロビーやテラスから眺める宍道湖は、夕日がなくても十分に美しく、湖面と空を眺めているうちに、気持ちがすっと落ち着いていくのを感じました。
夕日を見るつもりで訪れた場所で、思いがけず出会えた景色。この日の島根県立美術館は、旅の流れをやさしく切り替えてくれた、そんな立ち寄り先でした。
足立美術館|庭園と静けさに癒される

※写真は筆者が撮影したものです
足立美術館は、言わずと知れた日本庭園の美しさが魅力の場所。実際に訪れてみると、想像以上に「静けさそのもの」を味わえる空間でした。
2日目の午後、神魂神社を参拝したあとに向かったのが足立美術館。本当は美保神社まで足を伸ばす予定でしたが、閉館時間が17時と知り、予定を変更して急いで向かうことに。
到着したのは、16時20分ごろ。
この日は、雨が降ったり雪が舞ったり、急に晴れたりと不思議な天気で、駐車場に着くと庭園とは反対側の空に虹が出ていました。思いがけないご褒美のようで、気分が一気に上がったのを覚えています。
館内に入ると、そこからは一転してとても静かな時間。「日本一の庭園」に選ばれているだけあって、どこを切り取っても絵になる景色が広がり、歩き回っていた体と気持ちが、すっと落ち着いていく感覚がありました。

※写真は筆者が撮影したものです
神社巡りが続いた旅の中で、足立美術館は、祈る場所とはまた違う形で心を整えてくれる存在。時間に追われがちな旅の途中でも、「立ち寄ってよかった」と素直に思えた美術館でした。こういう寄り道ができるのも、今回が車旅だったからこそだなと感じました。
参拝とは少し違う、印象に残った神社
出雲大社をはじめとする有名な神社とはまた少し違って、今回の旅で強く印象に残ったのが、この2社でした。
観光として「参拝する」というより、その場の空気に身を置いて、ただ静かに感じる時間。人の気配が少なく、森や土地の力をそのまま受け取るような感覚がありました。
ここからは、そんなふうに心に残った、少し特別な神社を紹介します。
神魂神社|森に包まれる感覚

※写真は筆者が撮影したものです
出雲大社から少し離れた場所にある神魂神社(かもすじんじゃ)。鳥居をくぐると、深い森に囲まれた境内が広がり、空気がすっと変わるのを感じました。石を積み上げた石段や、静かにたたずむ社殿は、どこか古代出雲の面影を残しているよう。
観光地らしい賑やかさはなく、森の音だけが耳に届き、自然と背筋が伸びていきます。主祭神は、日本の創世神とされる伊弉冉大神(いざなみのおおかみ)。縁結びや安産、商工繁栄などのご利益があるといわれ、古くから人々に大切にされてきた神社です。

※写真は筆者が撮影したものです
本殿は、現存する大社造の社殿の中でも最も古いといわれ、国宝に指定されています。外から見ると質素な佇まいですが、長い年月を経てきた重みが、静かに伝わってくるようでした。
お願いごとをするというより、ただ手を合わせて、この場所の空気を感じたくなる神社。森に包まれるような安心感と、凛とした静けさが、旅の中でも強く印象に残った場所です。
須佐神社|静かだけど芯が強い場所

※写真は筆者が撮影したものです
須佐神社は、出雲の中心部から少し離れた、山あいの静かな場所にあります。境内に足を踏み入れた瞬間、派手さはないのに、空気がピンと引き締まるような感覚がありました。
主祭神は、須佐之男命(すさのおのみこと)。荒ぶる神として語られることも多い神様ですが、ここではどこか落ち着きがあり、強さと優しさが同時に感じられる不思議な雰囲気です。
境内はとても静かで、人の気配も少なめ。森に囲まれた空間の中で、風の音や木々のざわめきがはっきりと聞こえてきて、自然と心が内側に向いていきます。「お願いごとをする」というより、「今の自分を整える」ために立ち寄りたくなる場所。
参拝を終えたあと、不思議と気持ちが落ち着いて、足元がしっかり地に着いたような感覚が残りました。静かだけど、芯が強い。須佐神社は、そんな言葉がいちばんしっくりくる神社でした。
美術館のあとに立ち寄って正解だった温泉
美術館をじっくり見終えたあとは、体も気持ちも思っていた以上にお疲れモード。「このまま宿に向かう前に、少しだけでも温泉に入れたらいいね」そんな流れで立ち寄ったのが、この日の締めにぴったりだった温泉でした。
温泉竹葉|旅の合間に、ほっとひと息

※写真は筆者が撮影したものです
足立美術館を出たのは17時ごろ。美術館に向かう車の中で「できれば温泉入りたいね」と話していたのですが、まさか出口のすぐ隣に温泉があるとは思っていませんでした。
宿のチェックインは19時、次の宿までは車で約40分。「今ならいけるかも?」と、時間を見ながら温泉竹葉へ。正味1時間弱の短い滞在でしたが、歩き続けた体をゆっくり湯船に沈めるだけで、疲れがすーっと抜けていく感覚がありました。
美術館の余韻が残ったまま、静かな温泉に浸かれるこの流れは、正直かなり贅沢。このあと宿へ向かう車の中では、「気持ちよかったね」「入れて正解だったね」なんて話しながら、ナビを頼りに宿へ向かいました。
限られた時間でも、立ち寄って本当によかったと思える温泉。足立美術館とセットで、ぜひ覚えておきたい場所です。
今回泊まってよかった宿
島根県立美術館を出たあとは、外で軽く夕食を済ませて、この日の宿へ。長距離移動に、参拝、美術館と、思っていた以上に歩いた一日だったので、正直「早くお風呂に入りたい…」という気持ちが強かった夜です。
そんなタイミングでチェックインしたのが、湯の川温泉にある 湯元 湯の川。宿泊と朝食付きのプランで、ゆっくり休むことをいちばんの目的に選んだ宿でした。
湯元 湯の川|心まであたたまる老舗宿

※写真は筆者が撮影したものです
この日の宿は、湯の川温泉にある 湯元 湯の川。参拝と美術館で一日しっかり動いたあとだったので、「とにかく静かに、ゆっくりお湯に浸かりたい…」という気分にぴったりの宿でした。
湯の川温泉は、「日本三美人の湯」のひとつとして知られる温泉地。湯元 湯の川では、源泉100%かけ流しのお湯を24時間楽しむことができます。やさしい弱アルカリ性のお湯で、入っているとお肌がしっとりしてくる感じ。旅の疲れが、じわ〜っとほどけていきました。
特によかったのが、宿泊者は無料で利用できる 貸切風呂。3つある貸切風呂は、空いていればいつでも入れるスタイルで、周りを気にせず楽しめます。夜と朝で雰囲気が変わるのも楽しくて、つい「もう一回入ろうか」となってしまいました。
さらに嬉しかったのが、女性限定で浴衣を無料で貸し出してもらえたこと。柄や帯もいくつか種類があり、それぞれ好きなものを選べるので、ちょっとしたイベント感もあって楽しい時間に。温泉宿らしい気分がぐっと高まりました。

※写真は筆者が撮影したものです
翌朝の朝食も、印象に残っています。中でも、島根らしい しじみ汁がとても美味しくて、優しい味が体に染みる感じ。前日の移動と参拝の疲れを、内側から整えてくれるような朝ごはんでした。参拝の余韻を感じながら、温泉と静かな時間を味わえる宿。
神社めぐりが主役の旅だったけれど、この宿で過ごしたひとときがあったからこそ、旅全体のバランスがとてもよくなった気がします。
車旅だからこそ行けた、最終日の寄り道
最終日は、鳥取の宿を朝に出発して、神奈川まで一気に戻る長距離移動の日。Googleマップでは約8時間ちょっとのルートで、20時頃の帰宅を目指して走り出しました。
時間だけ見れば、寄り道せずに帰る選択もできたけれど、今回は車旅。「せっかくだから、ここも行ってみようか」と、予定に少し余白を残せたのは、自家用車ならではでした。
早朝の空気の中で立ち寄った神社、雪景色の参道、そして偶然が重なって辿り着けた場所。旅の締めくくりにふさわしい、印象深い寄り道になった2社を紹介します。
大神山神社奥宮|雪の石畳参道で迎えられた朝

※写真は筆者が撮影したものです
もともとは、最終日の朝に「ちょっと散歩がてら寄れたらいいね」くらいの軽い気持ちで向かった大神山神社奥宮。まさかその参道が、雪に包まれているとは思っていませんでした。
宿を出たのは朝7時過ぎ。夜のうちに降った雪が残り、日本一長いといわれる石畳の参道は、思っていた以上に真っ白。

※写真は筆者が撮影したものです
想定外ではあったけれど、不思議と引き返す気にはならず、そのまま歩くことに。踏みしめるたびにきゅっと音がする雪道。朝の澄んだ空気と、静まり返った参道。「朝の散歩」のつもりが、いつの間にか、心がすっと整っていく時間になっていました。
予定より少し時間はオーバーしたけれど、その分、雪に包まれた大神山神社奥宮という、忘れられない景色に出会えた朝。車旅じゃなかったら、きっと立ち寄らなかった場所だと思います。
サムハラ神社 奥の宮|呼ばれた人だけが辿り着く場所

※写真は筆者が撮影したものです
大神山神社奥宮をあとにして向かったのは、岡山県津山市にあるサムハラ神社 奥の宮。こちらも、車だからこそ立ち寄れた場所のひとつです。サムハラ神社の御祭神は、あらゆるものを生み出したとされる「造化三神」。
「呼ばれた人しか辿り着けない神社」
そんな言葉を目にしてから、ずっと気になっていました。
山の中を進み、少し不安になるような道を抜けた先に現れる境内。派手さはないのに、なぜか背筋が伸びるような空気がありました。
長距離ドライブの最終日。体力的には正直くたくただったはずなのに、ここでは不思議と気持ちが落ち着いて、静かに手を合わせることができました。
「ここまで無事に来れたね」そんな感覚を、自然と共有できた場所。出雲旅の締めくくりに、ぴったりの神社だったなと思います。
神社だけじゃない出雲旅のよさ
出雲といえば神社巡り、というイメージだったけれど、実際に旅してみると「神社の合間の時間」が想像以上によかった。
歩き疲れたあとに入ったカフェやパン屋さん、湖畔で風に吹かれながら過ごした美術館の時間、温泉で一日の疲れを流して、宿でゆっくり過ごす夜。
「次はどこ行く?」と話しながら車を走らせたり、予定通りじゃなくても「まあいっか」と笑えたことも、全部ひっくるめて、いい思い出になりました。
神社だけを巡る旅も素敵だけど、こうして寄り道を楽しめるのは女子旅ならではかも。出雲は、頑張らなくても楽しめる場所がちゃんとある。そんなことを実感した、やさしい旅でした。

